残暑最近、ニュースでよく耳にする言葉・・・
その中で気にかかることは、利用者様の夏バテと脱水です
その対策として、テレビやニュースで、
「しっかり飲んで、しっかり食べて・・・」 この言葉がよく流れています。一方的に流れてくるその言葉を聞いて思い出したことがあります。
「今日、少しですけど、自分から、口を近づけて食べてもらえたんです」
リハビリのためその利用者の居室を訪れた時、あるスタッフが私に駆け寄り、とても嬉しそうな顔で、話しかけてきました。
この言葉には背景がありました。
話しかけてもコミュニケーションが上手くとれず、意欲の乏しい状態。
食事も自分から食べようとすることもなく、介護者が口の中まで食べ物を運んでいました。
「食べたい」という気持ちになって欲しい
そんなスタッフの想いから、日中の過ごし方、食事の際の声掛け・環境、排泄、就寝など、食事と関係のありそうな活動を中心に、その人らしさを考えて、援助方法を見直し、工夫していました。
その結果からか、距離にして数センチ、スプーンに口を近づる動作が確認されました。しかし、そのわずかな動作は、その利用者様の「食べたい」という気持ちを伝えるとともに、大きな喜びをそのスタッフに与えることができたのです
「食べてもらう援助」から「食べる援助」へ変わった瞬間でもありました
夏バテや脱水の予防など、生命保持のためにも食事は必要です。でも、当然のことながら、食事にもその人の想いがあるのです。その人が、その食事をどのように考えているのか、まずその人らしい食事を考えていくことが重要なのだということを改めて感じることができた場面でした。
また、その人らしさを考えて介助していくことが、サービスを提供する側に「よろこび」をもたらす
このことを、絶えず意識しなければならないと、感じることができた場面でした。
この「よろこび」をたくさん、感じられるスタッフになって欲しいと、今年も新人職員を対象に食事介助の研修を行いました
介護主任・言語聴覚士による食事介助の際のポイントをスライドで講義
利用者の視点で考えることの重要性を学びました
なぜ食べない から なぜ食べたくないのか
現場での体験を基に振り返り、同期スタッフとグループワーク
自信につながる一歩を踏み出せるようになったと思います
介助の場面を想定し、
姿勢や介助者の位置がどのように食事や飲み込みに影響するのか体験
利用者様の気持ちに近づけるようになったと思います
この研修の経験を活かし、スタッフ全員が
「よろこび」「ゆたかさ」「やすらぎ」を利用者様と共感できる場面を多く持てればと思います
また、日々意識していけるような研修を行っていければと思っています
ふかわ・くにくさ リハビリ 野村