「おいノッポ!」
時折後ろからそう呼ばれたような気になります
振り返っても、そこにその方はいません
私が働く介護老人保健施設はよく「中間型施設」と言われたりします
病院から自宅へと結ぶ、または生活型の施設へと結ぶ
次の生活の場所をご利用者、ご家族と一緒になって考える
そんな役割を持った施設です
ご利用者との別れは突然です、別れ方も様々です
私を「ノッポ」と呼んでいたご利用者も、次の生活の場へと進まれました
そこがその方にとって、本当に一番よいところだったのか
それを決めるのはその方本人です
私たちにできるのは、いつか来る別れの時。お互いに少しでも満足した顔で
別れることが出来るよう、日々その方と向き合っていくことと考えています
私はちゃんと向き合えていたのかなぁ…
施設の畑を見ると、ふとそんな想いがよぎります
「また喧嘩しようの」
別れの日、私の手を掴んであの方が言ったこの言葉
一緒に泥いじりしたあの手の感触とともに、忘れたくないと思いました
(ふかわ・くにくさ 支援相談員 村上哲平)